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2018年10月11日

ヒトを対象とした認知機能に関する臨床試験実施

抹茶の継続摂取で健常中高年者の実行機能が改善することを確認

 

株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)は、抹茶の継続摂取で健常中高年者の認知機能の一部(実行機能:物事を迅速に判断して実行する能力)が改善することを、ヒトを対象とした臨床試験で確認しました。この試験結果を、10月12日(金)から北海道札幌市で開催される「第37回日本認知症学会学術集会」で発表いたします(当社発表日は10月13日(土))。

抹茶の摂取が健常中高年者の認知機能に及ぼす効果を科学的に検証
抹茶は、一般的に被覆栽培した茶葉を揉まずに乾燥させた後、石臼などで微細化したものをいい、茶道のお点前用に使われるだけでなく、最近ではお菓子やアイスクリームなどの原料として使用され、広く普及しています。お茶にはカテキン、テアニンなど様々な有用成分が含まれていますが、抹茶も同様で、特にテアニン量が多いことが特長です。これらの有用成分は、これまでの基礎的な研究により認知機能に良い影響をもたらす可能性が報告されています。

昨今、高齢者の認知症対策に関心が高まっています。認知機能は、加齢と共に低下すると言われており、中高年の頃から物忘れが気になる等の自覚症状が現れ始めるなど、物事を迅速に判断して実行する能力が低下してくると言われています。

これまでの疫学研究によると、緑茶をよく飲む人は認知機能障害が少ないという調査結果が出ています。当社が高齢者を対象に行った研究でも、緑茶抹の継続的な摂取により、改訂長谷川式簡易知能評価スケールやミニメンタルステート検査などの認知機能検査結果の改善が認められました1)2)。しかし、認知機能が低下し始める中高年者に対する影響、特にどの認知機能に対して効果があるかは検証が十分ではありませんでした。そこで当社は、抹茶に含まれる成分が中高年者の各種認知機能の改善に有効か、科学的な検証を行う臨床試験を実施しました。

抹茶含有カプセルの12週間継続摂取により、認知機能の一部が改善することを確認
臨床試験ではコグニトラックス(※1)という認知機能検査ツールを用いました。試験の結果、抹茶含有カプセル(抹茶量計2g)を12週間継続摂取することにより、課題遂行時間の短縮や正答数の上昇など、実行機能の向上が認められました。

試験食品の抹茶量(1日2g)は、茶道における薄茶点前の1杯分の量に相当し、無理なく摂取していただける量であるため、健康維持にお役立ていただけるものと期待しています。当社は今後、今回確認された健常中高年者に対する認知機能改善効果のメカニズムの解明を進めるとともに、他の年代の方々への効果についても研究を進め、抹茶の健康価値の解明、ならびにその活用方法について様々な提案を行ってまいります。

臨床試験の方法について
抹茶の摂取が中高年者の認知機能にどのような影響を及ぼすか、抹茶をゼラチンカプセルに充填した試験食とコーンスターチをクチナシ色素で着色したものを充填したプラセボ食(※2)を用いて、無作為化二重盲検並行群間比較試験により検証しました。

試験対象者として、50歳以上69歳以下の健常な男女62名を選抜しました。被験者は事前にミニメンタルステート検査(MMSE)を実施し、得点が22点以上の者としました。試験食またはプラセボ食を1日9粒(抹茶量計2g)12週間毎日摂取して、4週目、8週目、12週目にコグニトラックスによる認知機能検査を実施しました。

MMSEの得点は12週間の抹茶摂取により上昇する傾向が認められ(p<0.1)、この上昇には注意と計算、再生に関する得点の上昇が寄与している事が考えられました。コグニトラックスでは10項目の課題うち、ストループテスト(単純課題)、注意シフトテスト、持続処理テスト(単純課題)で反応時間の有意な減少が認められ、注意シフトテストでは正答数も有意に増加しました。

以上の結果から、物忘れが気になる健常中高年者において、抹茶2gを12週間継続摂取することにより、認知機能の一部である実行機能や注意機能が改善することが確認されました。


1)片岡洋祐ら テアニン高含有緑茶抹摂取による高齢者の認知予防効果
 日本未病システム学会誌15 (2009)

2)Kazuki Ide et al, Green Tea Consumption Affects Cognitive Dysfunction in the Elderly: A Pilot Study. Nutrients. (2014) May

(※1)コグニトラックス

以下10項目のテストで構成されるパソコンを用いた認知機能検査。
・言語記憶テスト(15個の単語を記憶する)・視覚記憶テスト(15個の図形を記憶する)・指たたきテスト(10秒間キーを早くたたき運動速度を測定する)・Symbol Digit Codingテスト(シンボルと数字が対で記載された凡例に従い、シンボルに対応する数字を判断して入れる)・ストループテスト(文字の色と意味が合っているか判断する。例:青という文字が黒い色で書かれている)・注意シフトテスト(上図参照)・持続処理テスト(ランダムに表示される文字の中で特定の文字が出たときのみキーを押す)・表情認知テスト(写真に表示された表情と下に書かれた説明の意味が一致しているか判断する)・Non Verbal Reasoningテスト(4つの区画のうち1つは空欄、3つには図が描かれている。空欄に入る図形を推測して入れる。)・4パート持続処理テスト(連続して出てくる図形の中で、1つ前に出た図形、2つ目前に出た図形を思い出して解答する)

(※2)プラセボ
一般に偽薬(ぎやく)と訳されています。本臨床試験では、色素で色付けしたコーンスターチをカプセルに詰めて用いています。

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