トップメッセージ及び責任者のコミットメント

トップメッセージ(※伊藤園統合レポート2017より抜粋)

持続可能性新時代-ESGとSDGs-

 変化の激しい時代を乗り切るためには、社会対応力の強化が必要です。当社グループは、2011年度にいち早く国際規格であるISO26000 ※1を活用して、これまでの慈善活動的な(フィランソロピー)CSRではなく、CSR ※2を幅広い「社会対応力」ととらえなおし、本業を通じたCSRに切り替えています。この国際規格での7つの中核主題 ※3で本業を通じたCSRの整理を行い、社内外で活動の「見える化」が進んでいます。
 これに加え、当社グループの強みと社会課題とのマッチングを関係者との対話などを通じて抽出して経営上の重要課題(マテリアリティ)として選定しました。強みを活かせる、環境、消費者、コミュニティ課題の3分野に経営資源を重点配分し、社会課題解決と経済価値の同時実現に向けて、事業を通じた共有価値の創造(CSV)※4を実践しています。このように、本業を通じたCSRとCSVを併用するCSR/CSV経営を推進している中で、現在加速化しているESG投資では、環境・社会でのチャンスとリスク回避の両面を見ますので、当社のESG関連要素を全面的に見直しました。
 「世界のティーカンパニー」を目指すうえでESG対応にあたっては国際的な動きも踏まえます。国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」 ※5は、持続可能性(サステナビリティ)の共通言語であり、ESG対応にあたり参照します。リスクマネジメントの強化に役立てるほか、当社グループの強みが発揮できる「持続可能な消費と生産」「持続可能な農業」「持続可能なまちづくり」「環境課題」「健康」「教育」などの目標をチャンス面で活用していきます。
 これを当社の代表的な事業を例に当てはめてみると、茶産地育成事業では、環境保全型農業・地域の雇用創出・地域活性化につながり、地域の生産者の経営が安定する一方で、当社も高品質な茶葉を安定的に調達できます。この活動はISO26000でいうコミュニティ課題におけるCSV活動です。ESGのEはもちろん、Sの地域社会活性化や雇用創出にもつながり企業価値を高めます。SDGsとの関連では「持続可能な消費と生産」「持続可能な農業」や「持続可能なまちづくり」の目標に寄与するものと理解しています。
 このようにCSR/CSV/SDGs/ESGは相互に関連し、共通項は持続可能性を目指す点です。
 これらの活動にあたっては、社員が持続可能性について学ぶ工夫を加え、人材育成にも力を入れています(ESD ※6:SDGsでも「教育」の目標に位置付けられました)。

株式会社伊藤園 代表取締役社長 本庄大介

※1 ISO26000:2010年11月に国際標準化機構( ISO:International Organization for Standardization)によって発行された「社会的責任の手引」
※2 CSR(Corporate Social Responsibility):ResponsibilityをResponse + ability(反応する+能力)ととらえ、むしろ幅広く社会対応力と理解
※3 7つの中核主題:組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティへの参画及びコミュニティの発展の7つ
※4 CSV(Creating Shared Value):共有価値の創造
※5 SDGs(Sustainable Development Goals):持続可能性(サステナビリティ)の新たな世界標準。2015年9月の国連で採択された「持続可能な開発のための 2030アジェンダ」で掲げられた世界全体の経済・社会・環境のあり方についての17目標、169ターゲットからなる。2016年から2030年までの国際社会の持続可能性に 関する羅針盤として設定
※6 ESD(Education for Sustainable Development):持続可能な開発のための教育

責任者のコミットメント(※伊藤園統合レポート2017より抜粋)SDGsのピクトグラムは主として関連しているものを記載

コーポレート・ガバナンス

取締役副会長 営業部門管掌、内部統制、
コンプライアンス、CSR 担当 江島 祥仁

  • 企業価値向上を支えるコンプライアンス体制を構築しています
     「コンプライアンス」なくして企業の永続的な発展はおろか、存続すら危ぶまれます。グループ社員全員でそのことを自覚し、行動において一人ひとりが規範を守り、お客様の信頼を得る努力をしていかなければなりません。また、人権を尊重し日常のコミュニケーションを大切にすることで、SDGsの目標10、16の「公正性」にも貢献できると思います。そして問題発生の未然防止、あるいは早期発見、迅速な対応につなげていきたいと考えています。

    江島 祥仁
財務マネジメント

取締役副社長 渡辺 實

  • ESG価値を高める独自のビジネスモデルと一体化した財務マネジメント
     近年、財務情報からの投資尺度だけでなく、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)などの非財務情報も 考慮しつつ、収益を追求する投資手法「ESG投資」が全世界の資産運用において存在感を示し、日本でも注目されています。当社は、バリュー チェーンの各面における独自の強みを活かす財務マネジメントを行い、株主資本コストを意識した利益水準を保ちながら、消費者ニーズ にお応えできるイノベーションを永続的に創出できる企業を目指していきます。また、SDGs各項目へ対応し、企業価値向上を図ります。

※以下、「バリューチェーン」の項目順

調達

農業技術部長 荒井 昌彦

  •  茶産地育成事業のうち、新産地事業に着手したのは2001年宮崎県からです。日本の農業が耕作放棄地や後継者不足などの問題を抱えており、茶産地でも同じことがいえるので、どのような問題の解決方法が最も適切か考えました。その結果、農家への技術提供、全量買取を含めた今の仕組みが確立しました。茶産地育成事業(新産地事業)では、行政や茶農家の方々と徹底的に議論しながら展開を図ってきたことでWin-Win関係になることができたと思います。最近では佐賀県でも取り組みを開始しました。今後は、この仕組みをさらに拡大し、茶産地2,000ヘクタールを目指していきます。この取り組みは、SDGsの目標2(持続可能な農業)や8(地域雇用・経済活性化)、12(耕作放棄地の活用)にも役立つ事業ですので、今後も社会課題解決に貢献していきたいと考えています。
    荒井 昌彦
製造・物流

取締役副社長 橋本 俊治

  •  ファブレス方式では、その時々でベストなパートナー企業との関係からネットワークが構築できています。そこでの品質管理についても、社外に委託を行うからこそ、徹底した管理を要求することになります。このような中で、最適な加工体制を組み込むことにより、世界潮流であるCO2排出量削減などの環境にも配慮した持続可能なビジネスモデルに育ちつつあると自負しています。ファブレスによるブロック生産方式や「NSシステム」「茶殻リサイクルシステム」などの革新性に基づき、コストの低減による事業性と、柔軟でレジリエントな供給力や品質確保による消費者価値、CO2排出量削減や使用資源量の削減による環境価値の向上という社会性を高めています。伊藤園全社でCO2排出量削減計画を定めCOP21「パリ協定」の達成に寄与していきます。このように製造・物流では、SDGsの目標9(技術革新)や12(つくる責任つかう責任)をはじめ、6、7、13、15の環境関連目標にも深く関連しますので、これらの目標も踏まえて対応を強化していきます。
    橋本 俊治
商品企画・開発

執行役員 中央研究所所長 提坂 裕子

  •  研究開発の方針は会社の5つの製品開発コンセプトに基づいていますが、その中の安全、健康、おいしさに重点を置いて研究を進めています。特に健康性は、高齢化の課題に対処した食生活のあり方という点からも今後の商品の価値を高めるために重要であると考えています。また、消費者のニーズに即して特定保健用食品や機能性表示食品などの研究開発を進めていきます。茶系飲料やコーヒーは成分分析などの科学的な知見を商品開発・品質向上に活かしています。今後、おいしさの成分や感じ方についての研究も強化し、緑茶などの健康性を伊藤園から世界に向けて発信していきたいと考えています。SDGsの目標3(健康)や9(技術革新)などに寄与していきます。
    提坂 裕子
ブランドの育成と強化

専務取締役 社 三雄

  •  持続可能な成長を続けるためには、お客様のニーズの探求と対応が不可欠です。時代が変わっても変わらぬものはお客様のニーズ。ただし、ニーズを満たす手段・手法は時代とともにどんどん変化していきます。この変化を見逃さず、理解しいち早く対応できるよう努力していきます。まさに、不易流行の考え方の中に、商品開発・イノベーションの大いなるヒントが隠されていると思います。また、企業として発展し続ける事業基盤をつくるには、競争優位の仕組みに育てていくことが必要です。当社には大茶会など部署を超えて社員が一致団結できる強みがあります。このような、他社にはできない強み・独創性を活かして、SDGsの目標3(健康)と9(技術革新)を通じてお客様へさらなる価値提供、社会貢献ができるよう取り組んでまいります。
    社 三雄
営業・販売

代表取締役副社長 本庄 周介

  •  差別化商品・高付加価値商品の販売強化という商品戦略と、地域密着営業できめ細かな訪問による売り場提案力の両輪で利益率向上を狙います。当社のルートセールス・システムは、全国197の拠点から約4,000人の営業員が直接売り場へ伺い、訪問・商談・売り場づくりまでを一貫して行うという地域密着性が強みです。加えて、ティーテイスターが販促活動に深みを持たせ、Voice制度では年間14,000件以上の社員提案が寄せられるなど、お客様の声を常に大切にしています。今後は、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた動き、海外から日本を訪れるインバウンドも含めた国内外の消費動向を注視していきます。また、地方創生では地域との接点をさらに強め、常に最新動向を踏まえた機動性ある営業力を磨いていきます。SDGsの目標9(産業化・技術革新)や12(つくる責任つかう責任)はもちろん環境や教育面での貢献など幅広く関係しています。
    社 三雄
価値創造を支える基盤

常務執行役員 管理本部長 平田 篤

  •  企業経営において、人権尊重は基本です。人材育成、働き方の改革などを推進することにより、生産性の向上や革新の創出が可能となり、働きやすさが高まります。ビジネス知識だけでなく、伊藤園の考え方をよく理解した人材にとって魅力的な職場環境を整えることにより、継続的に成長するための人材を輩出し続けたいと思います。こうした価値創造プロセスが、ポーター賞、「フォーチュン」誌の評価などにつながりバリューチェーンを支え、 SDGsの目標8(働きがいのある職場づくり)、4(質の高い教育)、5(ジェンダー平等)などに貢献していきます。ダイバーシティや、多様な働き方をサポートするには課題も多くありますが、社員一人ひとりの健康管理にも積極的に取り組み、人材マネジメントを進めてまいります。
    平田 篤
バリューチェーンにおけるESG

常務執行役員 CSR推進部長 笹谷 秀光

  •  伊藤園では、調達、製造・物流、商品企画・開発、営業・販売までの一連の価値創造の流れすべての面で、伊藤園の価値と併せて環境面(E)、社会面(S)での価値が創造されています。また、この価値創造を支える基盤である、ガバナンス(G)を強化しています。このバリューチェーン全体でSDGsと関連付けて整理しています。これが、関係者との連携により新たな価値を生み出す伊藤園の強みの源泉となっていると理解しています。 笹谷 秀光