コーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンス
当社は、グループ経営理念「お客様第一主義」の下、持続的な成長と企業価値を高めるため、国・地域社会、消費者、株主、販売先、仕入先、金融機関、従業員等のステークホルダーと積極的に協調して、企業の社会的責任を果たすことを経営の根幹とし、コーポレートガバナンスを支える基本的な考え方とします。
当社は、世界中のお客様の健康に貢献する「健康創造企業」として、「世界のティーカンパニー」という長期ビジョンの実現に向けて、より一層のコーポレートガバナンス体制の強化・充実に取組みます。
体制
1. 体制図
2. 概要(2024年7月26日現在)
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
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取締役の人数 | 13名 (うち、社外取締役5名) |
独立役員の人数 | 5名 |
任意の委員会の 設置状況 | 指名・報酬委員会 |
会計監査人 | 有限責任 あずさ監査法人 |
取締役会
取締役の員数は、定款の定めにより、取締役(監査等委員である取締役を除く。)11名以内、監査等委員である取締役4名以内とします。取締役会の監督機能を高めるため、取締役総数の内、独立社外取締役を3分の1以上とします。取締役会は、役割・責務を実効的に果たすため、経営戦略等に照らして知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性と適正規模を両立すべく構成します。
監査等委員会
当社の監査等委員会は、3名以上、定款の員数以内とし、その過半数を社外取締役とします。また、監査等委員である取締役の中から、常勤の監査等委員を選定します。監査等委員である取締役には、適切な経験・能力および必要な財務・会計・法務等に関する知識を有する者、特に財務・会計に関する相当程度の知見を有する者は1名以上を選任します。
社外取締役および社外監査等委員の選任理由
髙野 秀夫 | 長年東京商工会議所において様々な企業の経営支援に深く参画されてきました。その豊富な経験と幅広い見識を活かし、取締役会・経営陣から独立した立場で助言・提言等、当社グループの企業価値向上に資する発言を行っています。これらの実績と豊富な経験を踏まえ、引き続き当社のグループ経営に対する助言と実効性の高い監督としての役割を期待し、社外取締役として選任しています。また、東京証券取引所が定める一般株主と利益相反の生じるおそれがあるとされる事項に該当しておらず、独立性を有しています。 |
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阿部 啓子 | 東京大学大学院農学生命科学研究科の教授として豊富な経験と専門的知見を有し、長年にわたり食品の機能性研究の分野において活躍されてきました。食品の機能性研究の豊富な経験と専門的知見を活かし、中長期経営に関わる研究分野に対して有用な意見・助言を行うなど、企業価値向上に資する発言を行っています。これらの実績と豊富な経験を踏まえ、引き続き当社のグループ経営に対する助言と実効性の高い監督としての役割を期待し、社外取締役として選任しています。また、東京証券取引所が定める一般株主と利益相反の生じるおそれがあるとされる事項に該当しておらず、独立性を有しています。 |
臼井 祐一 | 長年における警察官としての豊富な経験と幅広い見識を有しており、物流企業にて直接会社経営にも関与してきました。その多様な経験と見識を当社の経営に活かし、取締役会・経営陣から独立した立場で当社グループの経営全体を俯瞰し、当社グループの企業価値向上に資する発言を行っています。これらの実績と豊富な経験を踏まえ、引き続き企業経営者としての経験も活かしたリスクに関する助言や当社の経営に対する実効性の高い監査を行って頂くために、社外取締役として選任しています。また、東京証券取引所が定める一般株主と利益相反の生じるおそれがあるとされる事項に該当しておらず、独立性を有しています。 |
横倉 仁 | 公認会計士および弁護士として専門的な知見ならびに幅広い知識および経験を有しております。社外監査役として取締役の職務執行の適法性を中心に監査し、適宜助言・提言を行っています。これらの実績と豊富な経験を踏まえ、引き続き会計および法務的な観点からの指摘や当社の経営に対する実効性の高い監査を行って頂くために、社外取締役として選任しています。また、東京証券取引所が定める一般株主と利益相反の生じるおそれがあるとされる事項に該当しておらず、独立性を有しています。 |
奥田 芳彦 | 税理士としての専門的な知見並びに幅広い知識および経験を有しております。これらの豊富な経験と専門的な知見を活かした助言や当社の経営に対する実効性の高い監査を行って頂くために、社外取締役として選任しています。また、東京証券取引所が定める一般株主と利益相反の生じるおそれがあるとされる事項に該当しておらず、独立性を有しています。 |
指名・報酬委員会
当社は、取締役等の指名・報酬などコーポレートガバナンスに関する重要事項の検討に当たり、独立社外取締役の適切な関与・助言を得ることにより、取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化することを目的として指名・報酬委員会を設置しています。指名・報酬委員会の構成は、社外取締役を含む取締役の委員3名以上で構成し、その過半数を独立社外取締役とします。委員は取締役会の決議によって選定し、委員長は独立社外取締役である委員の中から指名・報酬委員会の決議によって選定します。
また、取締役会の諮問機関として、以下の事項を審議し、取締役会に答申を行います。
- ①取締役会の構成に係る方針
- ②取締役、執行役員の選解任、候補者案に関する事項
- ③代表取締役の選定・解職案、役付取締役・執行役員に関する事項
- ④代表取締役社長の後継者計画に関する事項
- ⑤取締役、執行役員の報酬制度・報酬枠および報酬額に関する事項
- ⑥主要な子会社および関連会社の役員人事、報酬に関する事項
- ⑦その他コーポレートガバナンスに関する事項
委員会の構成
- 委員長
臼井祐一(社外取締役、監査等委員) - 委員
阿部啓子(社外取締役) - 委員
横倉仁(社外取締役、監査等委員) - 委員
本庄大介(代表取締役社長、社内取締役) - 委員
本庄周介(代表取締役副社長、社内取締役)
取締役会実効性評価
当社は、取締役会の実効性に関する分析および評価を2015年度より毎年実施し、取締役会の機能向上に努めています。
2023年度の評価方法
- アンケートによる自己評価を実施
- アンケート結果を踏まえた個別インタビューを実施
- アンケートおよびインタビューの結果を集計・分析
2023年度の評価項目
- ①取締役会の規模・構成
- ②取締役会の議論
- ③取締役会の運営状況
- ④株主との関係
- ⑤指名・報酬委員会の構成・審議等
- ⑥自己評価
2023年度の評価結果
取締役会の規模・運営に関しては、経営判断および監督機能を果たす上で、十分に機能していることが確認されました。メンバー構成に関しては改善されつつも更なる多様性向上への継続した取組みが必要であることが確認されました。また、議論に関しては、自由闊達で建設的な雰囲気の中、自由に発言できる環境があり、各メンバーが活発に議論に参加していることが引き続き確認されました。
一方で、ESGなどサステナビリティの視点に立った中長期的な経営戦略に関する議論や定期的な経過報告、「世界のティーカンパニー」に向けた国内外グループ会社に関する執行状況等の共有化と議論の一層の充実が課題として挙げられました。
当社は今後も継続的に課題の解決を図ることで、取締役会の実効性の更なる向上に努めていきます。
役員報酬
取締役の報酬等は、当社のコーポレートガバナンスに関する基本的な考え方や報酬の基本方針に沿って、客観性および透明性を確保するため、独立社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会において審議します。取締役会は、指名・報酬委員会の答申を尊重して決定します。また、取締役の報酬等は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して、株主総会にて決議された報酬限度枠の範囲内において決定します。
取締役の個別報酬等は、指名・報酬委員会において、その内容が基本方針と整合していることや、報酬基準に基づいて評価されていることなどを審議し、取締役会が、指名・報酬委員会の答申を尊重して決定します。
1. 基本方針
- ①伊藤園グループ経営理念「お客様第一主義」に沿って、企業の持続的発展と企業価値を高める報酬であること
- ②取締役の役割・責任の大きさと業績貢献に応じた報酬であること
- ③株価との連動性を高めることで、株主の皆様との価値共有を図り、経営への動機付けとなる報酬であること
- ④客観的かつ公平な審議に基づき、外部データを参考に決定された報酬であること
2. 報酬構成
取締役(社外取締役、監査等委員である取締役を除く。)の報酬等は、固定報酬と変動報酬で構成し、報酬等の構成比率は、固定報酬約65%、変動報酬約35%(業績連動報酬約20%、株式報酬約15%)とします。社外取締役および監査等委員である取締役の報酬等は、固定報酬のみとします。
① 固定報酬
固定報酬は、役位・役割に応じて金銭で支給する基本報酬とし、原則、月次払いとします。
② 変動報酬
業績連動報酬は、その評価期間中の業績評価に基づき決定される金銭報酬で、原則、月次払いとします。
株式報酬は、当社の株価との連動性を高め、株価変動による影響を株主の皆様と価値共有する立場に置くことによって、株価や業績への関心度を高め、株価上昇および業績向上への意欲や士気を一層高めることを目的とし、取締役兼務執行役員に対し、その期間中の役位・役割に応じて年1回当社の普通株式を割り当てる譲渡制限付株式報酬とします。
(ⅰ) 変動報酬の評価について
評価は、業績と報酬を連動させるため、経営指標を業績項目として設定し、役位別に連結・個別の割合基準を定めると共に各担当内容を勘案した上、それぞれの経営指標にポイントを付与することで総合評価をしています。
(ⅱ) 業績項目となる経営指標について
業績項目となる経営指標は、主に「売上高(成長性)」、「営業利益(収益性)」、「営業キャッシュ・フロー(安定性)」、「1株当たり当期純利益(収益性)」、「自己資本利益率(効率性)」、「株主資本配当率(株主還元)」とします。
内部統制システム
基本的な考え方
経営理念である「お客様第一主義」に基づき、全てのステークホルダーの利益に沿い信頼に応えることを基本とし、業務運営の透明性を高め、伊藤園グループの内部管理体制の有効性・効率性を更に向上させるため、取締役会において内部統制システムの基本方針を決議し、諸体制を整備しています。
内部統制システムの運用
代表取締役社長直轄組織として他の管理部門、業務部門から独立している内部監査部は、内部統制システムの監査を行い、その監査結果は内部統制担当の取締役を委員長とする内部統制推進委員会において審議され、取締役会において内部統制報告書として決議されます。
また、法務部コンプライアンス課、内部監査部が法令、社会規範や企業倫理など広い範囲にわたり法令遵守への意識向上に努め業務運営の適正性をチェックし、継続的にコンプライアンス教育を実施することに加え、未整備な点は業務改善を適時実施しています。さらに、重要事項については取締役会または執行役員会に報告する体制を取ることで内部統制システムの効果的運用を図っています。
リスク管理体制
- (ⅰ)当社は、当社グループのリスクマネジメント体制を整備するため、リスクマネジメント規程を定め、代表取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置します。
- (ⅱ)リスクマネジメント委員会は、当社グループのリスク情報・対応状況を把握し、重要なリスクの特定・評価、回避・低減等の対応等について取締役会に報告を行います。
- (ⅲ)当社は、コンプライアンス、サステナビリティ、品質、災害対策等、リスク分野別に委員会等を設置し、リスクマネジメント委員会と連携を図る体制を整備します。
- (ⅳ)当社は、不測の事態発生時には、代表取締役社長を本部長とする対策本部を設置して、迅速な対応を行い被害の拡大を防止し、最小限に止める体制を整備します。
知的財産
1. 知財体制
当社は、知的財産方針に基づき、中期経営計画に定める重要戦略を踏まえて、社会課題解決と企業価値向上に資する知財経営を推進します。社内に弁理士、弁護士を擁するとともに、外部の専門家も活用しながら、専門部署としての知的財産部を有しています。また、静岡県の生産本部にも知的財産部員が駐在し、研究開発部門の支援を積極的に行う体制を整えています。
知的財産部では各部門と連携し、研究開発戦略・ブランド戦略の支援を行っているほか、知財教育による支援も行っています。また、IPランドスケープの活動を通じて、研究開発戦略会議および事業計画会議にて提言を行っています。そうした活動内容および知財に関するリスクマネジメント事案を、担当執行役員が取締役会に報告し、フィードバックを得ています。
2. 経営戦略への支援
伊藤園グループミッション「健康創造企業」
「健康創造企業」の実現に向けて、緑茶、抹茶の認知機能への影響をはじめとする、食品の機能性に関する研究開発を知的財産活動により支援することで、独自の健康価値の高い製品を提供し、お客様の健康な生活に貢献します。
長期ビジョン「世界のティーカンパニー」
当社のコア事業であるお茶関連では、サプライチェーンを意識した茶畑から茶製品、茶殻リサイクルまでの知的財産権を確保しています。
中でも、茶(国際特許分類:A23F3)の技術分野における当社国内の重要特許構成比(同一技術分類内の被引用数上位5%における当社特許の割合)は約11%であり、当社独自の技術や製品に係る知的財産権が競争優位性を高めるとともに、お客様の多様なニーズに合わせた製品の提供を実現しています。また、茶殻リサイクル、減農薬・有機栽培、サステナブルな容器包装など、知的財産権に基づく循環型ビジネスモデルを推進することで、事業を通じて環境・社会課題にも貢献しています。
海外事業強化に向けて、各国における知的財産権の取得、リスク回避のため、各国の知的財産情報を収集しながら適切かつ効果的な権利取得を推進しています。
3. 人材の育成およびイノベーション促進への投資
当社は、かつて不可能と言われた無糖茶の飲料化を行うなど、様々なイノベーションを通じて成長してきました。イノベーションは当社にとっての成長の源泉です。
知的財産部は、研究開発部門、マーケティング部門および製造部門など知財創出に携わる部門を中心に、各部門のニーズ、習熟度に合わせた教育を実施し、知財創出の土台を醸成することで、イノベーションを促進しています。なお2023年度は知財創出に携わる部門において159人(うち海外事業に携わる人材27人)に対して知財教育を実施し、2024年4月時点での知財創造を行った累計社内発明者数は159人となっています。
また、グループ会社の関連部門とも連携して知財創出や権利取得を進めるなど、伊藤園グループの知的財産権の保護・活用を図っています。制度面では、当社は「発明補償金制度」を有しており、2023年度における補償金の支払い対象は年間151件となりました。その運用により、従業員の知財創出を奨励し、事業発展への寄与に取組んでいます。
適切な税務管理
伊藤園グループは、経営理念「お客様第一主義」に基づき、国内外の法令を遵守し、社内ルールの整備と適切な運用を徹底しています。税務に関しても、国内外の税務関連法令等を遵守し、適法にして適正な申告および納税を行うことに努めています。
また、税務の透明性を確保するとともに、適時適切な納税義務を確実に果たすことで、事業活動を行うすべての国や地域の経済社会の発展に貢献することを目指しています。
情報開示体制
基本的な考え方
当社は、内部情報に関する管理基準等を定め、「金融商品取引法」に違反する内部者取引(インサイダー取引)を未然に防止することを目的とする「内部情報管理規程」を制定しています。
当社は、この「内部情報管理規程」に基づき、当社の運営、業務および財産の変動に関する事実や、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす事実についての報告・開示体制を構築しています。
体制