株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)は、野菜100%飲料の継続的な摂取による免疫機能改善効果について、ヒトを対象とした臨床試験で確認しました。この試験結果の詳細を、5月18日(金)から東北大学(宮城県仙台市)で開催される「第66回 日本栄養・食糧学会大会」で発表いたします。
≪経緯≫
免疫機能はわれわれの生体を疾病から防衛する重要な働きであり、健やかな日常生活を営むためには免疫機能を維持・向上させることが望まれます。免疫機能は加齢や疾病によって低下することが知られていますが、最近では生活習慣の悪化やストレスが免疫機能の低下を引き起こす一因として心配されています。
野菜にはカロテノイドやビタミン、食物繊維など有用な成分が含まれており、抗酸化活性、発がん抑制や免疫機能改善などの機能性が報告されています。しかしながら、厚生労働省の平成21年国民健康・栄養調査結果によると、日本人の1日の野菜摂取量は成人で平均約295gであり、「健康日本21」の目標値である350gの84%にとどまっています。そこで今回、毎日の食事に加え、野菜100%飲料で野菜の栄養を補うことにより免疫機能の改善が期待できると考え、臨床試験を実施しました。
≪研究内容≫
民間研究機関の株式会社オルトメディコのサポートにより、ヒトを対象とした臨床試験を行いました。日ごろ疲れやすいと感じている健常な30歳以上の男女20名(以下、被験者)を対象に、1本当たり野菜を450g分使用した野菜100%飲料(280g入り)を1日1本摂取する群(以下、野菜ジュース群)と、水を摂取する群(以下、対照群)に10名ずつ無作為に分け、4週間摂取していただきました。摂取前と4週間摂取後に被験者の採血、問診などを行い、免疫力スコアおよび免疫力年齢(※)を算出しました。
≪結果≫
野菜ジュース群と対照群の摂取前と4週間摂取後を比較して、野菜ジュース群が免疫力スコアでは有意に上昇(改善)し(図1)、免疫力年齢では若い方にシフトしました(図2)。従って、野菜100%飲料の継続的な摂取により免疫機能が有意に改善されたことが示唆されました。壮年期から中年期で野菜飲料を摂取することが、ストレスなどの原因で低下する免疫機能の改善に有効であると考えられます。
今後は、メカニズム解明に向けてさらなる研究を進めてまいります。
(※)東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の廣川勝昱名誉教授と宇津山正典講師による測定評価方法。免疫力スコアは、ストレス、病気、老化の影響を受けやすい免疫機能に絞り、1(低い)、2(中程度)、3(高い)でスコア化して合算した値で、免疫力を客観的な数字として評価判定したもの。免疫力年齢は、免疫の強さに応じた年齢のことで、この年齢が低いほど免疫機能が若い、すなわち免疫機能が高いことを意味する。これらの測定に必要な採血、問診などは医療法人社団盛心会タカラクリニックの髙良毅院長によるもの。