(株)トーヨーと共同で茶殻を配合した「お茶殻折紙」「お茶殻千代紙」を開発

茶殻を有効活用した、身近な製品づくりを積極的に推進します

株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)は茶系飲料残渣(茶殻)を有効活用する“茶殻リサイクル”に積極的に取り組んでおりますが、このたび、株式会社トーヨー(社長:眞下安弘 本社:東京都足立区)と共同で、茶殻を配合した「お茶殻折紙」「お茶殻千代紙」を開発いたしました。3月下旬より(株)トーヨーが全国で販売する予定です。

「お茶殻折紙」「お茶殻千代紙」には、当社の「お~いお茶」をはじめとする日本茶飲料を製造する際に排出された茶殻を配合しています。茶殻を配合することで抗菌・消臭効果があり、かつ、それぞれの表面には茶殻が露出しているため、お茶の香りがする、美粧性に優れているという特長があります。

また、茶殻を紙パルプに配合することにより、紙原料の使用量削減につながります。「お茶殻折紙」1セット(※1)あたり「お~いお茶」500mlペットボトル約2本分の茶殻を配合しており、その分の紙原料の使用量が削減されています。さらに、茶殻には植物として吸収した二酸化炭素が炭素分として固定化されています。「お茶殻折紙」1セットあたり約8.6g-CO2の茶殻由来の炭素分(二酸化炭素換算)が含まれており(※2)、茶殻に含まれている炭素分を製品中に固定しているという点でも環境に配慮した設計となっています。

(※1)サイズ:15cm×15cm、入り数:30枚、坪量:68g/m2
(※2)ヤナコHCNコーダー MT-700HCN型(ヤナコ分析工業(株)製)により炭素量を測定

 

「お茶殻折紙」(左)と「お茶殻千代紙」

「お茶殻折紙」(左)と「お茶殻千代紙」

近年、当社の主力商品である日本茶飲料「お~いお茶」の消費量増加に伴い、茶殻の量も増加しています(2009年は年間41,800トンの茶殻を排出)。当社は「みんなで環境を考える伊藤園」という経営方針のもと、茶殻を地球環境配慮型の工業製品などに有効活用する『茶殻リサイクルシステム』の研究を推進しており、これまでさまざまな企業と共同で、畳やせっこうボード、ベンチ、フィルム、封筒、紙ナプキンなどに茶殻を配合した製品を実現してきました。

一方、折り紙やぬりえ、ねんど、幼児ファンシー商品などを製造販売する(株)トーヨーでは、現在、折り紙の原料に、植林木を原料としてECF漂白(※3)されたエコパルプを使用するなど環境に配慮した製品づくりを行っています。
しかし、ECF漂白されたエコパルプを使用した製品は、他の紙製品と同様の形状・色のため市場では識別しづらく、「お客様がひと目でわかる、環境にやさしい新たな素材」を模索してきました。また、以前よりお客様から「自然由来の香りがある“香りつき折り紙”」などの要望もいただいていました。

(※3)塩素ガスを使用しない漂白

今回、当社の『茶殻リサイクルシステム』のコンセプトである「お茶をお客様の身近な製品へ活用する」と両社の「地球環境に配慮した製品づくり」という考えが合致し、「日本人になじみのある緑茶(茶殻)」を活用した、お茶の香りがする「お茶殻折紙」と「お茶殻千代紙」の開発に至りました。

茶殻は昔から一般家庭において畳掃除や消臭剤等として利用されてきた馴染み深いものです。しかし現代では、茶殻のもつ消臭や抗菌の効果などを活用する意識が薄れ、茶殻は廃棄物であるという認識になりつつあります。当社では、茶配合製品の研究開発に積極的に取り組み、普及させることにより、社会において「茶殻=廃棄物」ではなく、身近な有用資源であるという考えを定着させ、「茶殻=有用資源」という意識付けに役立てたいと考えております。

 

【製品概要】

製品名

お茶殻折紙 お茶殻千代紙

仕様(サイズ、入り数)

15cm×15cm
30枚入り
折り方説明書付き
15cm×15cm
20枚入り
折り方説明書付き

希望小売価格(税別)

200円

発売日

3月下旬

 

【参考】

≪「お茶殻折紙」と「お茶殻千代紙」の抗菌効果≫

菌名

生菌数(CFU/枚)
0時間→ 24時間後
標準白色布 「お茶殻折紙」 「お茶殻千代紙」
MRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) 1.0×105 1.9×107 8.5×103
緑膿菌 1.0×105 3.9×108 <100
大腸菌 1.2×105 8.6×108 1.5×104

測定方法: 「JIS L1902:2002 菌液吸収法」に従って、約105 CFU/mlになるように1/20ニュートリエント培地で調製した菌液0.2mlを「お茶殻折紙」「お茶殻千代紙」に使用される茶殻配合紙0.4gに接種し、37℃・18時間で保存後、菌数を測定

 

≪「お茶殻折紙」と「お茶殻千代紙」の消臭効果≫

時間 0時間後 2時間後 6時間後 24時間後
ガス種 アンモニア 40ppm 0ppm 0ppm 0ppm
イソ吉草酸 26ppm 7ppm 3.2ppm 1.2ppm

測定方法: 「お茶殻折紙」と「お茶殻千代紙」に使用される茶殻配合紙(15cm×15cm)で折鶴をつくり、折鶴をテドラーバッグにガス(3L)とともに封入し、2時間後、6時間後、24時間後のガス濃度を測定