株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)は、株式会社イムラ封筒(社長:井村守宏 本社:大阪府大阪市)、リンテック株式会社(社長:大内昭彦 本社:東京都板橋区)と共同で、当社独自の『茶殻リサイクルシステム』を活用し、茶殻を紙パルプに配合したお茶封筒「お茶殻入り封筒」を開発いたしました。
5月以降、当社で使用する封筒(角形2号、長形3号)を順次、「お茶殻入り封筒」に切り替えるとともに、(株)イムラ封筒でも企業向けに販売する予定です。
左から角形2号、長形3号
角形2号
「お茶殻入り封筒」の特長
・茶殻を有効活用することで紙原料の使用量削減
「お茶殻入り封筒」には、100枚(角形2号、坪量68g/ m²)あたり「お~いお茶」500mlペットボトル約50本分の茶殻を配合しており、その分の紙原料の使用量削減につながります。また、茶殻には植物として吸収した二酸化炭素が炭素分として固定されていますが、「お茶殻入り封筒(角形2号、坪量68g/ m²)」にも100枚あたり約220g-CO2(※1)の茶殻由来の炭素分(二酸化炭素換算)が固定される計算になります。
(※1)ヤナコHCNコーダー MT-700HCN型(ヤナコ分析工業(株)製)により炭素量を測定
・情報保護性
「お茶殻入り封筒」は、一般のクラフト紙に比べて封筒中身の情報漏えいを防ぐ情報保護性に優れています。通常、クラフト紙を使用した封筒では、紙を薄くすることで軽量化を図りますが、反面、封筒の中身が透けて見えるという情報保護上の課題も抱えていました。この度開発した「お茶殻入り封筒」は、20%の軽量化(※2)と 一般的な封筒と同等の情報保護性 を両立させています。また、封筒の軽量化は紙の腰が弱くなるという課題がありましたが、(株)イムラ封筒、リンテック(株)および当社の技術協力により、通常のクラフト紙と同等の品質レベルを実現しています。
(※2)現在当社で使用している角形2号の封筒(坪量85g/ m²)と角形2号の「お茶殻入り封筒」(坪量68g/ m²)を比較
・配合した茶殻がデザインを形成
「お茶殻入り封筒」の表面には配合した茶殻が模様となり、ひとつの美粧性に富んだデザインを形成しています。また、お茶の香りがある、抗菌・消臭効果があるといった特長もあわせもっています。
当社では「お~いお茶」をはじめとする日本茶飲料の売上拡大に伴い、製造過程で排出される茶殻の量も年々増加しています(2008年度の排出量は約41,000トン)。そうした中、「みんなで環境を考える伊藤園」という経営方針の一環として、茶殻を環境配慮型の工業製品などに有効活用する研究に取り組み、茶殻の抗菌・消臭効果を利用した製品(畳、せっこうボード、ベンチ、ボールペンなど)や紙原料削減につながる製品(名刺や紙ナプキンなど)を開発するなど、独自のリサイクル技術『茶殻リサイクルシステム』を確立しています。また、製造工程においても含水率の高い茶殻を乾燥させず、そのまま有効活用(リサイクル)する独自技術を開発しています。今回の「お茶殻入り封筒」を開発する際にも『茶殻リサイクルシステム』を活用しています。
一方、(株)イムラ封筒は「かけがえのない地球の良い環境を子々孫々まで伝えるために、企業活動を通じて、また社会活動を通じて、一人一人が環境保全に積極的に取り組む」という基本理念のもと、森林認証の取得や封筒業界初の環境報告書の発行など、環境に配慮した事業展開を行っています。製品としては再生紙封筒や間伐材封筒などを提供していますが、これらの環境配慮製品は外観での判別が困難であることから、お客様がひと目でわかる、環境にやさしい新たな素材を模索してきました。
また、リンテック(株)は「地球は一つ、大きな視野で快適環境に尽力しよう」をスローガンに、合法的かつ適切に管理された森林からの木材を原料とするパルプ(森林認証パルプ、植林木パルプを含む)、および再・未利用材から得られるパルプ、非木材パルプなどを使用した製品作りを行っています。
今回、当社の『茶殻リサイクルシステム』のコンセプトである「お茶をお客様の身近な製品へ活用する」、3社の「地球環境に配慮した製品づくり」「未利用素材の有効活用」という考え方が合致し、「お茶殻入り封筒」の開発に至りました。5月以降、当社で使用する封筒(角形2号、長形3号)を順次、「お茶殻入り封筒」に切り替える予定です。これにより、封筒の軽量化および茶殻の有効活用により、年間約840kgの紙パルプ使用量削減効果が期待されます(※3)。
(※3)2009年度の当社の角形2号、長形3号封筒使用量から計算
(株)イムラ封筒は5月12~14日に東京ビッグサイトで行われる「ダイレクトマーケティングEXPO」に「お茶殻入り封筒」を展示するとともに、6月上旬に「お茶殻入り封筒」の販売を開始する予定です。
当社は今後ともこのような身近な茶配合製品の研究開発に積極的に取り組み、普及させることで、社会において「茶殻=有用資源」という意識付けに役立てたいと考えています。