株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)は、株式会社クラウン・パッケージ(社長:佐光恵藏 本社:愛知県小牧市)と共同で、当社独自の茶殻リサイクルシステムを活用し、茶殻を紙パルプに配合した「茶殻入りパッケージ」を開発いたしました。
茶殻入りパッケージ
「茶殻入りパッケージ」は、茶殻が表面に露出しているため、抗菌・消臭効果、お茶の香り(※1)があり、かつ美粧性に優れています。お中元・お歳暮用の箱、ギフトボックスなどに展開することが可能であり、簡易包装が主流のこれらの用途に「茶殻入りパッケージ」の美粧性を活かすことができます。素材に使われる「茶殻入りマイクロフルート」は、板紙などに比べて薄くて軽く、丈夫な特長をもつ三層構造のマイクロフルート(※2)の、表裏両面もしくは表面の紙に茶殻を配合した茶殻の効果をもつダンボールで、今回、当社と(株)クラウン・パッケージとの共同開発により誕生しました。
(※1)お茶の香りは、保管状態や時間の経過により弱くなることがあります。
(※2)ダンボールは厚みによって、厚いものから順にAフルート、Bフルート、Eフルート、サンシャイン(Fフルート)、Gフルートの5種類がありますが、この内、厚みが0.5~0.6mmの超極薄のサンシャイン(Fフルート)とGフルートを(株)クラウン・パッケージではマイクロフルートと呼んでいます。
写真中央部の茶殻入りパッケージ
(サイズ230mm×180mm×40mm、表貼りの場合)
「茶殻入りパッケージ」には、当社の「お~いお茶」をはじめとする日本茶飲料を製造する際に排出された茶殻を配合しています。また、茶殻を紙パルプに配合することは、紙原料の使用量を削減することにつながります。「茶殻入りパッケージ」1箱(右の写真)あたり「お~いお茶」500mlペットボトル約2本分の茶殻を配合し、その分の紙原料の使用量が削減されました。さらに、茶殻には植物として吸収した二酸化炭素が炭素分として固定化されています。1箱(右の写真)あたり約11.4g-CO2の茶殻由来の炭素分(二酸化炭素換算)が含まれており(※3)、茶殻に含まれている炭素分を製品中に固定しているという点でも環境に配慮した設計となっています。
当社はこうした日本茶飲料の製造過程で排出された茶殻を、水分を含んだまま有効活用(リサイクル)する独自の「茶殻リサイクルシステム」を構築し、これまで当社社員の名刺のほか、畳、せっこうボード、ベンチ、ボールペンなどに有効活用してきました。今回の「茶殻入りパッケージ」を開発する際にも「茶殻リサイクルシステム」を活用しています。
(※3)ヤナコHCNコーダー MT-700HCN型(ヤナコ分析工業(株)製)により炭素量を測定
当社では「お~いお茶」をはじめとする日本茶飲料の売上拡大に伴い、製造過程で排出される茶殻の量も年々増加しています(2008年度の排出量は約41,000トン)。そのような背景の中、「みんなで環境を考える伊藤園」という経営方針の一環として、茶殻を環境配慮型の工業製品などに有効活用する研究に取り組み、茶殻の抗菌・消臭効果を利用した製品(畳、せっこうボード、ベンチ、ボールペンなど)や紙原料削減につながる製品(名刺や紙ナプキンなど)を開発するなど、独自のリサイクル技術「茶殻リサイクルシステム」を確立しています。茶殻を乾燥させることなく活用するこのシステムは、これまでに環境関連の複数の賞を受賞しています。一方、(株)クラウン・パッケージは、「環境に優しいパッケージにて社会に貢献する」という企業理念のもと、ゴミ問題解決へ向けて、古紙再生紙や植林木ペーパーを使用した人にやさしい製品を開発していました。しかし、それら環境にやさしい紙製品は、他の紙製品と同様の形状・色のため市場では分かりづらく、お客様も一目でわかる、環境にやさしい新たな素材を模索してきました。
今回、当社の「茶殻リサイクルシステム」のコンセプトである「お茶をお客様の身近な製品へ活用する」という考えと、両社の「地球に配慮した製品づくり」「未利用素材の有効活用」という考えが合致し、「茶殻入りパッケージ」の開発に至りました。「茶殻入りパッケージ」は、2009年12月10~12日に東京ビッグサイトで行われる「エコプロダクツ2009」の伊藤園ブース(小間番号4-099)にて展示いたします。また、2010年1月より(株)クラウン・パッケージが全国で順次販売する予定です。
当社は今後ともこのような身近な茶配合製品の研究開発に積極的に取り組み、普及させることで、社会において「茶殻=有用資源」という意識付けに役立てたいと考えています。