溝端紙工印刷株式会社と共同で茶殻を配合した「お茶殻入り紙ナプキン」を開発

お茶の香りと抗菌・消臭効果。6月から溝端紙工印刷(株)より全国販売を開始。

株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)は、溝端紙工印刷株式会社(社長:溝端繁樹 本社:和歌山県伊都郡)と共同で「お茶殻入り紙ナプキン」を開発、6月から溝端紙工印刷(株)が全国で販売いたします。

「お茶殻入り紙ナプキン」には、当社の「お~いお茶」をはじめとする緑茶飲料を製造する際に排出された茶殻を配合しています。当社はこうした緑茶飲料の製造過程で排出された茶殻を、水分を含んだまま有効活用(リサイクル)する独自の「茶殻リサイクルシステム」を構築し、これまで当社社員の名刺のほか、畳、ダンボール、ボールペン、ベンチなどに有効活用してきました。今回の「お茶殻入り紙ナプキン」を開発する際にも「茶殻リサイクルシステム」を活用し、さらに、茶殻を紙パルプに配合して紙ナプキンのような薄い紙(坪量:約14g/m²)を抄造する際に、茎や葉脈が紙を破かないよう、茶殻を微粉砕しています。

また、茶殻を紙パルプに配合することは、紙原料の使用量を削減することにつながります。「お茶殻入り紙ナプキン」1,000枚あたり「お~いお茶」500mlペットボトル約36本分の茶殻を配合し、その分の紙原料の使用量が削減されました。

さらに、茶殻には植物として吸収した二酸化炭素が炭素分として固定化されています。「お茶殻入り紙ナプキン」には、1,000枚あたり約165g‐CO2の炭素分(二酸化炭素換算)が含まれており(※)、炭素分を製品中に固定しているという点でも環境に配慮した設計となっています。

(※)ヤナコHCNコーダー MT-700HCN型(ヤナコ分析工業(株)製)により炭素量を測定

 

お茶殻入り紙ナプキン (左から)4つ折りタイプと6つ折りタイプ

お茶殻入り紙ナプキン (左から)4つ折りタイプと6つ折りタイプ

 

当社では「お~いお茶」をはじめとする茶系飲料の売上拡大に伴い、製造過程で排出される茶殻の量も年々増加しています(2007年度の排出量は約43,000トン)。
当社は「みんなで環境を考える伊藤園」という経営方針の一環として、茶殻を環境配慮型の工業製品などに有効活用する研究に取り組み、茶殻の抗菌・消臭効果を利用した製品(畳、せっこうボード、ベンチ、ボールペンなど)や紙原料削減につながる製品(名刺や紙袋、段ボールなど)を開発するなど、独自のリサイクル技術「茶殻リサイクルシステム」を確立しています。茶殻を乾燥させることなく活用するこのシステムは、これまでに環境関連の複数の賞を受賞しています。

一方、溝端紙工印刷(株)は「私たちがいま、地球のためにできること」「事業の社会的使命に徹し国家社会に奉仕する」という経営理念から、植林木を利用した環境対応製品や非木材紙など環境に配慮した紙を積極的に活用した紙製品を取り扱ってきました。しかしながら、植林木や非木材を使用した紙製品は、他の紙製品と同様の形状・色のため市場では分かりづらく、お客様も一目でわかる、環境にやさしい新たな素材を模索してきました。

今回、当社の「茶殻リサイクルシステム」のコンセプトである「お茶をお客様の身近な製品へ活用する」という考えと、両社の「地球に配慮した製品づくり」「未利用素材の有効活用」という考えが合致し、「お茶殻入り紙ナプキン」の開発に至りました。

当社は今後ともこのような身近な茶配合製品の研究開発に積極的に取り組み、普及させることで、社会において「茶殻=有用資源」という意識付けに役立てたいと考えています。