ザ・パック株式会社と共同で茶殻を配合した「お茶入りペーパーバッグ」を開発

茶殻を配合することで紙原料の使用量を削減し、地球温暖化防止に貢献します

日本で初めて緑茶飲料を開発した株式会社伊藤園(社長:本庄八郎 本社:東京都渋谷区)と、安全と環境に配慮した商品開発と技術開発を行っているザ・パック株式会社(社長:木村義一 本社:大阪府大阪市)は、共同で茶殻(茶飲料残渣)を紙袋に有効活用する技術開発に取り組み、茶殻を配合した「お茶入りペーパーバッグ」を開発しました。

「お茶入りペーパーバッグ」は、飲料製造工程で排出される茶殻を、環境面に配慮して含水のまま使用しています。
従来、飲料工場において排出された茶殻は水分率と温度が高く腐敗しやすいため、有効活用するには事前に茶殻を乾燥させる必要があると考えられてきました。しかし、茶殻を乾燥させるためには石油資源を必要とし、環境に負荷をかけることになります。

そこで当社が開発した茶殻を含水のまま保存・配合する技術を、紙袋原紙の製造工程に応用しました。これにより、茶殻を乾燥させることなく、また、紙袋原紙の通常の製造工程に負荷をかけることなく、紙袋に茶殻を配合させることが可能となりました。

 

「お茶入りペーパーバッグ」

「お茶入りペーパーバッグ」

 

また「お茶入りペーパーバッグ」は、茶殻を配合することで、紙原料の使用量を削減するという点でも環境にやさしい設計になっています。
「お茶入りペーパーバッグ」1袋(※1)当たり、当社の緑茶飲料「お~いお茶」500mlPET約1/2本分に使用される茶殻を配合しています。これにより、紙原料の使用量が削減されますが、ペーパーバッグとしての強度は通常のものと変わりがありません。また、「お茶入りペーパーバッグ」は、使用後も通常どおり古紙として何度でもリサイクルが可能です。
(※1)220mm×110mm×270mm

 

現在、CO2を吸収・固定する素材として「ケナフ」が注目されており、ケナフを利用した紙製品が市場に展開されています。同様に茶樹もCO2を吸収・固定する能力があり、当社ではそうした茶樹と収穫物である茶葉に着目しています。特に、残渣である茶殻を、 『CO2を吸収・固定した未利用素材』として捉え、茶殻を効率よく紙製品中に配合することにより、リサイクルや省資源と同様に「地球温暖化防止」にも配慮しました。

当社ではこれまで、茶殻を地球環境配慮型の工業製品などに有効利用する研究を推進し、茶殻を乾燥させることなく活用する独自の「茶殻リサイクルシステム」を確立させています。一連の取り組みが評価され「茶殻リサイクルシステム」は、環境関連の複数の賞を受賞しています。

 

【研究開発の背景と経緯】
近年の緑茶飲料をはじめとする茶系飲料の需要増に伴い、製造工程で排出される茶殻(茶飲料残渣)の量は年々増加しています。当社においても「お~いお茶」の販売量とともに原料茶の使用量も増加しており、それに伴って、排出される茶殻の量も増加しています(2006年の年間茶殻排出量:42,000トン)。

当社は、「新技術に挑戦する伊藤園」「みんなで環境を考える伊藤園」という経営方針の一環として、茶殻を地球環境配慮型の工業製品などに有効利用する研究を推進しており、茶殻の抗菌効果や消臭効果を利用した茶配合製品(「茶配合ボード」「茶配合樹脂」「茶入りせっこうボード」「お茶入りダンボール」など)を開発するなど、独自のリサイクル技術「茶殻リサイクルシステム」を確立しています。また、茶配合ボードを用いた「さらり畳」(株式会社北一商店と共同開発)や茶配合樹脂を用いた景観配慮型自動販売機、お茶入りベンチなどの応用開発にも取り組んでいます。
一方で、ザ・パック(株)は、「資源、エネルギーを大切にし、廃棄物の最小化とその再生利用に努めます。」「環境活動を通じて、顧客満足を追求していきます。」という環境基本方針の一環として、1993年の「バガス(※2)」ペーパーから始まり、1995年には「ケナフ」ペーパー、2002年3月には「アシ」ペーパーなどの非木材紙を次々に環境に配慮した紙素材として商品化しております。
(※2) バガス:さとうきびの絞り粕

 

今回、両社の「地球にやさしい製品づくり」、「CO2を吸収・固定した未利用素材の有効利用」、「古紙の使用量の低減」という考えが合致し、「お茶入りペーパーバッグ」の開発に至りました。「お茶入りペーパーバッグ」は、茶殻を配合することにより、CO2を吸収・固定した未利用資源を有効利用し、古紙の使用量削減にもつながる「より一層、地球環境に配慮した製品」であると考えています。

 

【今後の展開】
茶殻は本来、昔から一般家庭において畳掃除や消臭剤などとして利用されてきた馴染み深いものです。しかし現代では、茶殻のもつ消臭性や抗菌性などを活用する意識が薄れ、茶殻は廃棄物であるという認識になりつつあります。当社では、茶配合製品の研究開発に積極的に取り組み、普及させることにより、社会において「茶殻=廃棄物」ではなく、身近な有用資源であるという考えを定着させ、「茶殻=有用資源」という意識付けに役立てたいと考えています。