ガレート型カテキンの継続的な摂取による「体脂肪低減効果」「女性のコレステロール値低下作用」を確認

第61回日本栄養・食糧学会(5月19日)にて研究の詳細を発表

株式会社伊藤園(社長:本庄八郎 本社:東京都渋谷区)の中央研究所は、ガレート型カテキン(※1)の継続的な摂取に「体脂肪低減効果」および「女性のコレステロール値低下作用」があることを確認し、5月19日(土)に、第61回日本栄養・食糧学会(2007年5月19日~20日・国立京都国際会館)にて発表しました。これらの結果から、ガレート型カテキンの継続的な摂取による、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防が期待されます。

※1 「ガレート型カテキン」とは、8種類ある茶カテキンのなかでも、構造式においてガレート基をもち、渋みを呈する4種(EGCg、ECg、GCg、Cg)のカテキンです。

 

「体脂肪低減効果」を確認

≪ 背景・目的 ≫
当社では、ガレート型カテキンが脂肪の消化酵素である「リパーゼ」を阻害し、ヒトおよび動物で食事中の脂肪の吸収を抑制することをすでに報告しています。このたびの研究では、濃くいれた煎茶に近い濃度のガレート型カテキンを、食事の際に継続摂取することによる体脂肪低減作用を検討しました。

≪ 方法 ≫
ガレート型カテキン211mgを含有する試験飲料と、ガレート型カテキンを8.3mg含む対照飲料を使用しました。試験は、二重盲検3群並行比較試験(※2)にて実施しました。BMI(※3)が22.5~30kg/m2で20歳から65歳までの健常被験者(男性98名、女性97名)を選出し、1)対照飲料3本(対照群)、2)試験飲料2本と対照飲料1本(低用量群)、3) 試験飲料3本(高用量群)を12週間毎日、食事とともに摂取していただきました。1日当たりのガレート型カテキン摂取量は、対照群:24.9mg、低用量群:430.3mg、高用量群:633mgとなります。このような条件下で、身体計測、腹部脂肪面積、血液生化学検査の評価を行いました。

※2 「二重盲検3群並行比較試験」とは、対照群、低用量群、高用量群の3群の摂取を同時に開始して比較を行う試験で、被験者や試験に関わる医師に、どの群かを伏せて行う試験です。
※3 ボディー・マス・インデックス。体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数。肥満度指数。

 

≪ 研究内容・結果 ≫
ガレート型カテキン配合飲料を、低用量または高用量で摂取することにより、摂取開始時および対照群と比較して、有意な体重およびBMIの減少が認められました。また、摂取開始前および対照群と比較して、12週間後に腹部全脂肪面積および内臓脂肪面積の有意な低下が認められました。さらに、低用量群および高用量群の双方で、対照群と比較して総コレステロールおよびLDL(悪玉)-コレステロールに有意な低下が認められました。

 

「女性のコレステロール値低下作用」を確認

≪ 背景・目的 ≫
近年、茶カテキンの血清コレステロール低下作用が報告されていますが、女性のみを対象として調査した報告は極めて少ないのが現状です。その一因には、血清コレステロール値が月経周期の影響を強く受けるため、評価が困難であることがあげられます。

そこで、月経周期の安定した女性被験者を対象とし、ガレート型カテキンを196.2mg配合した飲料(ガレート型カテキン配合飲料)を用いて、12週間の長期摂取試験を実施し、血清コレステロール低減に対する有用性および安全性を検討しました。

 

≪ 方法 ≫
空腹時の血清総コレステロールが、180mg/dl以上260mg/dl未満を示す女性132名(平均年齢:41.2±6.2歳)の被験者を無作為に2群に分け、ガレート型カテキン配合飲料(1本250ml当たりガレート型カテキン196.2mg配合)または対照飲料を、1日2本、食事とともに12週間毎日摂取していただきました。試験期間中、経時的に採血を行い、血清脂質などの各血液生化学的指標を測定しました。あわせて食事と運動量の調査を行いました。試験は、二重盲検並行群間比較(※4)にて実施しました。

※4 「二重盲検並行群間比較」とは、対照群をもうけて行う試験のうち、被験者にもスタッフにも試験飲料と対照飲料のどちらを摂取しているかを伏せて行う試験のことです。

 

≪ 研究内容・結果 ≫
ガレート型カテキン配合飲料摂取群では、摂取4週目以降、総コレステロールが対照飲料群に比べて有意に低くなりました。特に、LDL(悪玉)-コレステロール値については、摂取4週目以降、摂取開始時と比較して有意な低下が認められました。一方、試験飲料に起因する有害事象(貧血の指標への影響など)は、一切認められませんでした。