第三十回伊藤園お~いお茶新俳句大賞 受賞作品発表

過去最多約200万句から文部科学大臣賞、金子兜太賞決定

株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)は、入賞作品を商品パッケージに掲載することが特徴の「第三十回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」入賞作品2,000句を決定いたしました。

【文部科学大臣賞】田中 龍太(たなか りゅうた)さん 27歳 長崎県北松浦郡

 猫の載るヘルスメーター文化の日

 

【金子兜太賞】松本 大夢(まつもと ひろむ)さん 15歳 神奈川県横浜市

 今ここで蒲公英(たんぽぽ)になれ種になれ

過去最多応募となった1,995,869句の中から、最高位賞である文部科学大臣賞に選ばれたのは、長崎県の田中龍太さん(27歳) の作品「猫の載るヘルスメーター文化の日」です。今回より新設された金子兜太賞は、神奈川県の松本大夢さん(15歳)の作品「今ここで蒲公英になれ種になれ」に決定いたしました。

また、今後の新俳句大賞の新たな展開として、海外の方々にも日本文化を知っていただき興味を持っていただく活動の第一歩となる、俳句ユネスコ無形文化遺産登録推進協議会の活動に協力してまいりますさらに、これまで培ってきた学校や教育現場との良好な関係を維持しつつ、新俳句大賞を通じて若い人々とのコミュニケーション拡大を図るために、画像を活用した新たなテーマの部門を開設する予定です。

 


文部科学大臣賞受賞作品が掲載された「お~いお茶」

 


第三十回伊藤園お~いお茶新俳句大賞

【文部科学大臣賞】
賞金:50万円

賞品:賞状、受賞作品掲載「お~いお茶」、受賞作品掲載額、入選作品集[自由語り]

猫の載るヘルスメーター文化の日

田中 龍太(たなか りゅうた)さん 27歳 長崎県北松浦郡

(選評)
この句の新鮮さは、本来は決して居心地が良いとは言えない体重計に載っている様子が微笑ましく、また体重計でなくヘルスメーターとカタカナ表記して、文化の日のイメージを浮かび上がらせた点にあります。しかもその言葉の軽快なリズムが、若々しい文化の体感を捉えています。そこに作者独自の表現の工夫が見えていると言えそうです。

【作者コメント】

谷崎潤一郎、内田百閒、遠藤周作などの純文学を愛する読書家。

この俳句は、飼っていた天かすの好きな太り気味の猫「テン」について詠んだもの。ある日、「テン」の具合がよくなく、風邪かと思い病院に連れて行きました。診察台兼体重計に載せられて先生に診てもらっている姿を見て、俳句にしようと思ったそうです。

猫のふくよかさは、精神的なゆとりの現れであり、豊かさの象徴とも受け止められ、その思いを「文化の日」という言葉で表現しました。

 

 

【金子兜太賞】
賞金:20万円

賞品:賞状、受賞作品掲載「お~いお茶」、受賞作品掲載額、入選作品集[自由語り]

今ここで蒲公英(たんぽぽ)になれ種になれ

松本 大夢(まつもと ひろむ)さん 15歳 神奈川県横浜市

(選評)
この句は中七でいったん切れ、下五でさらに強く切れて一句全体を響かせます。「なれ」という呼びかけを二度重ねて、これから飛び立とうとする蒲公英に作者自身が呼びかけ、「今ここで」の出発の勢いをつけています。自分の思いを真っ向からぶっつけていく句の勢いと、この二度重ねる切れのリズムが、金子兜太賞にふさわしいダイナミズムだと思いました。

【作者コメント】

高校生である自分はいろいろな事を楽しみたいと考えています。蒲公英は、咲いた後に綿毛を飛ばし、また別のところで花を咲かせるので、その姿がいろいろな所でいろいろな事を楽しみたいと考えている自分と重なると思い、そのことをこの俳句で表現しました。初めて詠んだ3句のうちの1句が選ばれ、大変驚いています。

【大賞】
賞金:20万円

賞品:賞状、受賞作品掲載「お~いお茶」、受賞作品掲載額、入選作品集[自由語り]

【小学生の部(幼児含む)】応募総数 560,702句

たんぽぽがおそれ知らずに旅に出る

原田 悠生(はらだ ゆうせい)さん 11歳 熊本県熊本市

(選評)
「おそれ知らずに」には、風に乗ってまっすぐに空へむかって飛んでいくいさぎよさがあります。なんの疑いもためらいもなく、ひたすら自分を信じ、人々を信じ、世界を信じているような天真爛漫さが、おそれを知らぬ強みになっているのかも知れません。思わず「よい旅を」と声をかけたくなりますね。

 

【中学生の部】応募総数 462,777句

十五夜に飛ぶ蝙蝠(こうもり)よ眩しいか

田村 煌(たむら こう)さん 14歳 新潟県新潟市

(選評)
満月の十五夜の中へ、突然蝙蝠が飛び出して来ました。思いがけなく場違いなところへ飛び出してしまったのかもしれません。まるで新人さんが、ライムライトの当たる晴れ舞台に飛び出してしまったような感じで、蝙蝠自体が一番驚いているのです。「眩しいか」は作者の見立てですが、蝙蝠の羽ばたきが羽で眼を覆っているようにも見えて来ますね。

 

【高校生の部】応募総数 807,351句

駅を出て街のかけらとなってゆく

西田 歩未(にしだ あゆみ)さん 18歳 岐阜県大垣市

(選評)
電車を降りた乗客の群れが、駅を出て一斉に散ってゆく様子を「街のかけら」と捉えたのでしょう。群衆の塊りが、かけらのように崩れてゆく流れが見え、人々それぞれの暮らしの中へもどってゆく感じが伝わってきます。かけらはそれぞれの家路を辿ってゆくのです。

 

【一般の部A(40歳未満)】応募総数 61,818句

終電の吊り革引けば流れ星

黒岩 徳将(くろいわ とくまさ)さん 28歳 東京都中央区

(選評)
終電ですから、乗客は疲れや眠さをかなり感じている状態でしょう。電車の揺れに身をまかせていて、大きく揺れた途端、両手で掴んだ吊り革に思わずすがりついたのです。そのとき、窓の外を流れ星がさっと走ってゆきました。なぜか体の中にも、何かが流れて行ったような気がします。瞬間的に、ああお疲れさんとでも言われたような気がしたのかもしれません。

 

【一般の部B(40歳以上)】応募総数 77,361句

まんぼうの口のくらがり雪降りぬ

今田 保雄(こんだ やすお)さん 84歳 秋田県横手市

(選評)
まんぼうの大きな体は銀白色で、海の中へ溶け込んでゆくような感じがしますね。ちょうど海には雪が降り続いていて、その寒さの中をまんぼうの大きな口が、うつすらとくらがりを作っているように見えました。雪はそのまんぼうの大きな口のくらがりのなかを、いつまでも霏々と降ってゆくようです。北国の冬の海が生なましく感じられますね。

 

【英語俳句の部】応募総数 25,860句

Cool river
A fish jumps
Another fish jumps

(訳)涼やかな川 魚が跳ねる もう1つ跳ねる

清水 雄二朗(しみず ゆうじろう)さん 14歳 東京都杉並区

(選評)
暑い日だ。作者は川を見つめている。川風がそよそよ吹けば、いくらか涼しい。流れに近寄って指を浸してみると、ひんやりしている。川は大きい存在だし観察の対象なので、定冠詞のtheも不定冠詞のaもつけないほうがいい。ないほうが広がる印象だ。少しすると魚が水面を割って現れる。羽化途中の虫を狙ったのか。そのうちもう一匹、はねて現れる。この句はシンプルに景色を描いているようで、実は雄大ともいえる時間の流れと川の流れを含んでいる。そのつぎのfishの登場、またつぎのfishの登場までも伝わるのだ。

※ 各受賞者の年齢は応募時のものです



≪第三十回伊藤園お~いお茶新俳句大賞 募集要項≫

●主催
伊藤園新俳句大賞実行委員会●応募部門(6部門)
「小学生の部(幼児含む)」     「中学生の部」     「高校生の部」「一般の部A(40歳未満)」     「一般の部B(40歳以上)」     「英語俳句の部」

●応募方法
ハガキ、FAX(A4サイズ)、インターネットのいずれかの方法で、日本語、英語を合わせてお一人様6句までご応募いただけます。「応募部門と作品」「郵便番号」「住所」「氏名」「年齢」「電話番号」「Eメールアドレス」「句会・学校名・サークル名(所属している場合のみ)」を明記してご応募ください。

●応募宛先
ハガキ :〒102‐8553  東京都千代田区紀尾井町3‐23 「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」係FAX :03‐3263‐5668インターネット :https://www.itoen-shinhaiku.jp

●応募締切

2019 年2月28日(木) 当日消印/送信有効

●賞(入賞2,000名様、入選5,000名様 合計7,000名様)
入賞
日本語俳句より文部科学大臣賞1名様(賞金50万円と副賞)、金子兜太賞1名様(賞金20万円と副賞)、各部門より大賞1名様・計6名様(賞金20万円と副賞)、優秀賞44名様、審査員賞10名様、後援団体賞10名様、都道府県賞240名様、佳作特別賞1,688名様の合計2,000名様の作品を「お~いお茶」のパッケージに掲載いたします。入選(佳作)部門問わず5,000名様に、入賞入選者7,000名様の作品が掲載された作品集『自由語り』を進呈いたします。

審査員(50音順、敬称略)
日本語俳句

浅井愼平(写真家)、安西篤(俳人)、いとうせいこう(作家・クリエイター)、金田一秀穂(日本語学者)、黒田杏子(俳人)、宮部みゆき(作家)、

村治佳織(ギタリスト)、吉行和子(女優)

英語俳句 
アーサー・ビナード(詩人)、星野恒彦(俳人)

●発表

伊藤園ホームページなどにて上位入賞作品2,000句を2019年7月7日に発表。また、応募者には審査結果を7月上旬頃に郵送またはメールにて通知いたします。なお、入賞作品2,000句を2019年秋より「お~いお茶」シリーズのパッケージに順次掲載いたします。

 

「beyond2020」のロゴマーク

伊藤園お~いお茶新俳句大賞は、日本文化の魅力を発信するとともに、2020年以降を見据えたレガシー創出のための文化プログラム「beyond2020プログラム」として、 認証をいただきました。

参考】
伊藤園お~いお茶新俳句大賞について

俳句は、独自の細かい約束ごと(季語、定型など)が重んじられます。しかし、この約束ごとを満たさなくても素晴らしい句はたくさんあります。約束ごとにとらわれない表現は初心者が取り組みやすいと同時に、ベテランと同じ土俵で「表現力」を競い合うことが出来ます。「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」は、創作上の制限をできるだけ省き、五・七・五のリズムで自由に表現することが可能です。
一方、伊藤園の「お~いお茶」は、全国で多くの方々に愛飲されており、そのパッケージは、メディアとしても活用できます。1989(平成元)年に誕生した「お~いお茶」は、いつでもどこでもおいしい緑茶を飲んでいただこうと開発した伊藤園の日本茶飲料ブランドであり、創作上の制限を設けない「新俳句」は「お~いお茶」にふさわしいものだと考えました。短文表現の発表の場として、自社製品のパッケージを開放することは現代にマッチした新しい文化活動であると考えております。

第一回に41,373句であった応募作品数は、今回で累計応募総数が約3,570万句になりました。
最近では、俳句を取り上げたテレビ番組が人気になるなど、これまで俳句との接点が少なかった中高生や、若い世代の俳句への関心が高まっているほか、教育現場でも日本文化の継承として俳句創作が定着しつつあります。第三十回は、国内の小学校976校、中学校859校、高校1,051校、海外団体49校合わせて2,935校からご応募を頂きました。ちなみに、全国の高校のうち、5校に1校以上の学校が新俳句大賞に取り組んでいただいていることになります。

俳句ユネスコ無形文化遺産登録推進協議会の支援について
世界のティーカンパニーを目指す伊藤園は、海外において日本の伝統飲料・緑茶の発展と、同じく日本の伝統文化である俳句を通して日本文化を守り、広く伝えていきたいと考えております。
その一歩として、現代俳句協会様や国際俳句交流協会様など、国内の俳句4団体様、俳句に縁のある三重県伊賀市、東京都荒川区、愛媛県松山市など34自治体の皆様で構成され、俳句を通じて世界での共感者をつなげ、民族間の意思の疎通や、さらには自然との共生を目的に俳句のユネスコ無形文化遺産への登録を推進されている「俳句ユネスコ無形文化遺産登録推進協議会」の活動を支援いたします。
支援の内容としては、新俳句大賞の情報発信の際に、俳句ユネスコ無形文化遺産登録をサポートすることを表示し、少しでも多くの皆様にこの活動を周知し、関心を持っていただくことで、ユネスコ無形文化遺産への登録の実現をつなげたいと考えております。