ニュースリリース

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研究・技術

2020年12月11日

ヒトを対象とした認知機能に関する臨床試験実施

カテキンの継続摂取で健常中高年者の「作業記憶」が改善することを確認

 

株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)は、カテキンの継続摂取で健常中高年者の認知機能の一部である「作業記憶(ワーキングメモリー)」が改善することを、ヒトを対象とした臨床試験で確認できたことから、この結果を学術雑誌Molecules(モレキュールズ)にて発表しました。

厚生労働省の発表によると、2025年には65歳以上の認知症高齢者の数が約700万人(国民の5人に1人)に増加すると予測されているなど、「認知症予防」が社会的課題となっており、その対策や予防に関心が高まっています。特に認知機能は、加齢と共に低下するとされ、中高年の頃から物忘れが気になるなどの自覚症状が現れ始めるなど、“物事を迅速に判断して実行する能力”が低下してくると言われています。

このような社会課題を背景に、当社ではお茶やお茶に含まれる成分による認知機能改善効果の研究に取り組んでおり、2017年9月から12月に実施したヒトを対象とした臨床試験では、抹茶の継続的な摂取によって認知機能の一部(注意機能や実行機能:物事を迅速に判断して実行する能力)が改善することを確認し、本年11月にはその効果を生かした製品(12月7日発売「お~いお茶 お抹茶」)を発表しました。

そして今回は、これまでカテキンがヒトのどの認知機能に対して効果があるのか不明確であったことから、カテキンの摂取が健常中高年の認知機能に及ぼす効果を科学的に検証するための臨床試験を実施しました。

カテキン含有カプセルの12週間継続摂取により、「作業記憶」が改善することを確認
臨床試験では、50~69歳の認知機能の低下を自覚している被験者を対象とし、コグニトラックス(※1)という検査ツールを用いて認知機能を評価しました。試験の結果、緑茶由来のカテキン抽出物(336.4mg)を12週間継続摂取することにより、「作業記憶」に対して良い影響を及ぼす可能性が示唆されました。

今後、今回確認されたカテキンの認知機能である「作業記憶」の改善効果を基に、認知機能全般に関する研究を進め、お客様により価値のある製品として提供することを目指します。人生100年時代において、当社は認知機能に関する課題解決に挑み、お客様の豊かな生活に貢献してまいります。

臨床試験の方法について
カテキンの摂取が中高年の認知機能にどのような影響を及ぼすか、カテキン抽出物をゼラチンカプセルに充填した試験食とコーンスターチをクチナシ色素で着色したものを充填したプラセボ食(※2)を用いて、無作為化二重盲検並行群間比較試験により検証しました。 

試験対象者として、50歳以上69歳以下の健常な男女52名を選抜しました。被験者は事前にミニメンタルステート検査(MMSE-J)(※3)を実施し、得点が24点以上の者としました。試験食またはプラセボ食を1日3粒(336.4mg)12週間毎日摂取して、12週目にコグニトラックスによる認知機能検査を実施しました。

コグニトラックスでは、10項目の課題のうち、長時間にわたる注意力の持続を測定する持続処理テスト(CPT)で、誤反応の有意な低下が認められ、作業記憶を測定する4パート持続処理テスト(FPCPT part4)では、反応時間の有意な減少が認められました。

以上の結果から、認知機能の低下を自覚している中高年おいて、カテキンを12週間継続摂取することにより、認知機能の一部である「作業記憶」が改善することが確認されました。

(※1)コグニトラックス
以下10項目のテストで構成されるパソコンを用いた認知機能検査。
・言語記憶テスト(15個の単語を記憶する)・視覚記憶テスト(15個の図形を記憶する)・指たたきテスト(10秒間キーを早くたたき運動速度を測定する)・Symbol Digit Codingテスト(シンボルと数字が対で記載された凡例に従い、シンボルに対応する数字を判断して入れる)・ストループテスト(文字の色と意味が合っているか判断する。例:青という文字が黒い色で書かれている)・注意シフトテスト(上図参照)・持続処理テスト(ランダムに表示される文字の中で特定の文字が出たときのみキーを押す)・表情認知テスト(写真に表示された表情と下に書かれた説明の意味が一致しているか判断する)・Non Verbal Reasoningテスト(4つの区画のうち1つは空欄、3つには図が描かれている。空欄に入る図形を推測して入れる。)・4パート持続処理テスト(連続して出てくる図形の中で、1つ前に出た図形、2つ目前に出た図形を思い出して解答する)

(※2)プラセボ
一般に偽薬(ぎやく)と訳されています。本臨床試験では、色素で色付けしたコーンスターチをカプセルに詰めて用いています。

(※3)ミニメンタルステート検査(MMSE-J)
精神状態短時間検査。見当識や記憶力、計算力など11項目から構成される30点満点の検査。

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