茶殻リサイクル開発秘話

茶殻をアップサイクルする技術「茶殻リサイクルシステム」の
開発秘話をご紹介します。

Point 1

水分含有率85~95%
茶殻はリサイクルに不向き?

「お~いお茶」は、急須でお茶を淹れるように茶葉から抽出しています。そのため、お~いお茶を製造する飲料工場では大量の茶殻が排出されます。茶殻はこれまでも堆肥や飼料に有効活用していましたが、「お~いお茶」の生産量増加と比例して増え続ける茶殻を前に、“別の活用方法はないか”と研究を始めました。しかし工場から排出される茶殻の水分含有率は85~95%と高く、また温度も高いため、すぐに腐敗してしまうという大きな課題がありました。

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Point 2

リサイクルに
余計なエネルギーは
使わない!

茶殻は多くの水分を含んでいて温度が高いため、腐敗しやすい特徴があります。腐敗しやすい茶殻を有効利用するには乾燥工程が必要と考えられてきました。しかし、乾燥には多くの燃料(化石燃料等)の消費や二酸化炭素の発生が伴います。そのため、含水のままの茶殻を保存・輸送・製品に配合する技術が求められますが、これまで確立ができていませんでした。

茶殻を乾燥させると

例えば、茶殻10tを乾燥させるには約500ℓの灯油を使用する必要があり、乾燥する過程では約1.3tもの二酸化炭素を排出することになります。

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Point 3

茶殻のリサイクル技術を開発

腐敗しやすい茶殻をそのまま長期保管する方法はないのか――。研究所では、温度や輸送形態など保存条件を試行錯誤し、腐敗しやすい茶殻を長期保管するためのテストを繰り返しました。実験室レベル(数10g~1kg単位)の試験から実用化に向けた10t車運送時の検証を慎重に進め、水分を含んだ状態の茶殻の腐敗を抑え、輸送・保存・製品に配合する技術の開発に成功しました。

茶殻リサイクルシステムの確立

例えば、腐敗した茶殻で紙製品を作ると腐敗臭が問題となりますが、当社が使用する茶殻封筒などの茶殻を配合した紙製品はお茶の香りがします。水分を含んだ状態の茶殻の腐敗を抑え、輸送・保存・製品に配合する技術開発に成功した証です。

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Point 4

茶殻リサイクル製品 第一号
「茶配合ボード」誕生!

畳の掃除に茶殻を活用すると清々しいお茶の香りが残るという生活の知恵をもとに、主に畳材や床下材などに利用されるインシュレーションボードに、水分を含んだままの茶殻を配合した「茶配合ボード」が2001年3月に完成。2003年7月には、消臭効果などの付加価値をもつアップサイクル製品として、「茶配合ポード」を活用した「さらり畳」の販売を開始しました。その後、さまざまな茶殻リサイクル製品が誕生しますが、この茶配合ボードの技術は開発基盤として活躍しています。

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開発担当者のコメント

当時、祖母が畳の掃除に茶殻を使用していて、茶殻を畳にリサイクルすることを思いつきました。まさに「おばあちゃんの知恵袋」的な発想でした。「茶配合ボード」の開発以降も茶殻アップサイクル製品の開発を続けていますが、開発する製品一つひとつが苦難の道のりです。しかし、その開発過程で出会う様々な恩師のおかげで、壁を乗り越えることができています。これらの経験や人との繋がりが、次の樹脂、茶殻配合建材、茶殻配合紙、人工芝、軽量車両などの製品開発に繋がっていると思っています。

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茶殻リサイクルシステム開発担当者
株式会社伊藤園 中央研究所佐藤 崇紀
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