茶殻
古紙製緩衝材
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太榮株式会社 様
運搬中の製品保護に、
むぎ茶殻を活用した古紙製緩衝材を開発
お客様のニーズに応える商品作りを
当社で製造している古紙製緩衝材について、お客さまからは「もっと薄く・軽く・安くして欲しい」という声が長年ありました。今まで原料に混ぜ込む素材として、麻等の天然繊維や竹繊維など十数種類の素材を試してみましたが思うような結果は出ませんでした。そんな時、2017年にテレビ番組で、伊藤園の茶殻を用いた畳が取り上げられているのを見ました。もしかしてうちでも使えるかもしれないと思い、伊藤園に連絡をしてみると、すぐさま対応してくださり、研究所で色々と説明していただきました。相談していく中で、緑茶殻からむぎ茶殻へ変更し、むぎ茶殻の濃度や投入するタイミングなど逐一相談しあいながら試作したので、7ヶ月程というスピードで製品になりました。もちろん作業に関わった全社員の一体感と粘り強さも開発スピードの原動力となっています。
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むぎ茶殻の粘性が効果的
当初は様々な製品に活用されている緑茶殻を使用することを考えていましたが、紙繊維との相性が良くなくて結合がうまくいかず、最終的に伊藤園からご提案してもらったむぎ茶殻を使うことにしました。むぎ茶殻に含まれる粘り成分が結合することで、緩衝材が粘り、壊れにくくなるという特徴が出たため、以前より薄くても同じ強度が出せることにより、重量を最大15%削減することができました。また、原料の価格が安定したことに加え、製品を撹拌・乾燥させる時間も短縮することができたことによって、価格の見直しもできました。このような点から、従来の製品より「薄く、軽く、安く」を実現することができています。
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CSRに関心の高いお客様からも好評価
完成した古紙製緩衝材はまずお客様にサンプルとして出荷し、それぞれで試験をしてもらいます。重量を削減できたのでお客様が商品を輸送する際のコスト削減になりますし、品質も向上したという評価もいただきました。取引先の企業様には、複数のサンプルを出荷し、加速度計をつけた落下テストなどをしてもらって、結果が改善されていることを実感いただきました。昨今はCSRへの関心も高く原料の出所を気にされるお客様は多いので、伊藤園のむぎ茶殻と自動車メーカーで使用した段ボール端材という2つだけを使っていることはお客様の安心感にもつながっています。「伊藤園のむぎ茶ですか!?」と驚かれることも多いですね。ちなみに当社製品の乾燥の際に排出される熱は89%回収し、コージェネシステムへ直接送り発電することで再利用しています。そのような点でも地球に優しい製品です。
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緑茶の消臭・抗菌効果を取り入れた商品にも期待
むぎ茶殻の経験を活かし、今後は緑茶などの茶殻も製品化できればと考えています。最初に提供いただいた緑茶殻を用いた試作品を乾燥する際に緑茶のいい香りがしていました。また、緑茶の消臭効果やカテキンの抗菌効果を取り入れて訴求ポイントにしたいです。 それから、今まで当社が扱ってこなかった商品も、茶殻を活用すれば作ることができるかもしれません。以前、建築資材を製造する話を頂いたことがあったのですが、重さが課題となり製品化できませんでした。むぎ茶殻で軽量化できるようになったので、今までの課題を解決した新規製品が作れるかもしれませんね。
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